会見リポート
2025年05月14日
13:00 〜 14:00
10階ホール
ギデオン・サアル・イスラエル外相 会見
会見メモ
大阪・関西万博を訪問するため5月13日に来日した、イスラエルのギデオン・サアル(Gideon Sa'ar)外相が会見した。
司会 出川展恒 日本記者クラブ企画委員(NHK)
通訳 池田薫 サイマル・インターナショナル
会見リポート
「すべての責任はハマスに」
岩崎 建 (日本テレビ放送網報道局解説委員)
イスラエル・サアル外相の記者会見は、ビル正面玄関前でガザ侵攻に反対する抗議デモが行われ一時警察ともみ合いになるなど異例の厳戒態勢の中で始まった。外相の来日は大阪・関西万博に合わせたものとのことだが、そのスケジュールも直前まで伏せられるほどイスラエル側は治安面で神経質となっていた。そのような中で始まった記者会見でサアル外相はまず、ガザ情勢に触れる前提として2005年に実施したガザ地区からのイスラエル軍と入植者の撤退について、その事実を強調した。
その上で2023年10月7日のハマスによる攻撃を「すべての責任はハマスにのみある」と非難し、自分たちはあくまで「攻撃された側」で自衛のための戦いであるとの従来の主張を、時折語気を強めながら力説した。さらにいまだハマスの人質となっているイスラエル人に話が及ぶと、日本の北朝鮮による拉致被害者を取り上げ、「家族の心の痛みは我々にも分かるし、一刻も早い解放を祈っている」などと述べ同情する姿勢をみせた。
そして、会見中にはいかにも「イスラエルらしい」一幕もあった。話の途中、イスラエル側のスタッフが壇上のサアル外相にメモのようなものを差し込む。外相はそれに目を通したあと、「少しよろしいですか?」と切り出した。それは、さきほどエルサレムでイエメンの親イラン武装組織フーシ派による攻撃があり、空襲警報が鳴る中市民がシェルターに避難する事態が起きたとの内容だった。サアル外相は「子どもたちの通学時間帯を狙ったもので、これこそが戦争犯罪だ」と強く非難し我々に鋭い視線を向けた。
国際社会の非難の声にもかかわらずガザ侵攻を拡大し、強気の言動を繰り返すイスラエル。サアル外相の会見は、まさにその姿勢そのものだった。
ゲスト / Guest
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ギデオン・サアル / Gideon Sa'ar
イスラエル外相 / Minister of Foreign Affairs of the State of Israel