2025年05月20日 15:00 〜 16:30 9階会見場
「『コメ』はいつまで主食かー価格急騰を考える」(6) 金森正幸・全国農業協同組合連合会 米穀農産事業担当常務理事

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会見リポート

「問われる消費者目線」

高木 克聡 (産経新聞社経済部兼デジタル報道部)

 会見冒頭、国民の最大の関心事となったコメの価格高騰について「想像ができなかった。大きな戸惑いを持っている」と内心を吐露した。

 生産の現状について、主食用米の作付面積、生産者数は減少傾向にあり、高齢化が進む中、生産コストは上昇、自然災害の激甚化など気候変動のリスクも高まっていると強調した。一方で、組織としての具体的な実施策について、収量を向上させる品種改良や生産性を改善するデジタル化などをさまざまな取り組みを紹介した。ただ、消費者向けの事例は広告やSNSなどを通じた情報発信による理解醸成のみにとどまった。

 日々の取材で実感するのは、農業ほど1円の利益にシビアな産業はないということだ。収穫量の予測、市場価格や資材費用などから損益を計算し農薬や肥料の散布量も調整している。失敗をすれば、1年のもうけがすべて失われるだけでなく、飢えという命の危機に直面するという緊張感が根底にあるのだろう。

 こうした1円にこだわる緻密な農業を可能にしているのがJA全農だ。過去の財務状況をみると、新型コロナウイルス禍など、世界的に経済活動が大きな打撃を受ける中でも安定した運営がなされており、その調整能力の高さがうかがえる。ただ、こうした事業運営で、組織が内向きになり、消費者を置き去りになっているのではないだろうか。

 会見から数日後、事態は一変した。失言で農林水産相を辞任した江藤拓氏の後任に、2015年に自民党の農林部会長としてJAグループ改革に取り組んだ小泉進次郎氏が登板することとなった。備蓄米は利益度外視で市場に放出されることになった。JA改革の再燃は必至だ。自身で掲げる「生産者と消費者を安心で結ぶ懸け橋」になれるか、消費者目線で向き合う姿勢が問われている。


ゲスト / Guest

  • 金森正幸 / Masayuki KANAMORI

    全国農業協同組合連合会(JA全農) 米穀農産事業担当常務理事

研究テーマ:「『コメ』はいつまで主食か―価格急騰を考える」

研究会回数:6

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